ラグビーの試合を観ていると、選手がボールを故意に外に蹴り出す場面が見られます。
この行動に対して「なぜわざわざボールを外に出すのか?」「相手にボールを渡してしまっても大丈夫なのか?」
と思う観客も少なくありません。
実は、ラグビーにはボールを前にパスしてはいけないルールがあり、このスポーツが陣地争いを重視する競技であるため、ボールを外に蹴ることが戦略的に重要です。
この記事では、その理由について詳しく説明します。
試合終了のホイッスルが鳴った後でもプレーが続くことがあり、その間にボールを外に蹴ると試合が終了する場面もよくあります。これについても解説します。
陣地を確保するためにボールを外に蹴る
ラグビーでは、ボールを外に蹴ることは陣地を確保するための重要な戦略です。
自陣でプレーが続くと、相手にトライを許すリスクがあるため、ボールを敵陣に蹴り出して安全を確保します。
自陣でのファウルもペナルティキックのチャンスを相手に与える可能性があるため、リスクを避ける意味でもボールを敵地に送ることが望ましいです。
攻撃時に前方に進むことは制限されており、パスは基本的に後ろにしかできません。
そうした中で、ボールを外に蹴って陣地を回復する戦術が求められます。
このプレーを「タッチキック」と呼び、ボールがタッチラインを越えた地点からゲームが再開されます。
再開は相手のラインアウトになりますが、敵陣に近い場所でプレーを再開できるため、有利な状況を作り出します。
ペナルティキックで外に蹴った場合は、自チームのボールで再開され、より有利な位置を確保できます。
ボールを外に蹴り出すタイミングとその理由
ラグビーでは、試合終了の合図となるホーンが鳴った後も、プレーが止まるまで試合が続きます。
勝っていても負けていても、ファウルが発生するか誰かがボールをフィールド外に蹴り出すまでは試合は終わりません。
これにより、試合の最後のプレーが重要な意味を持つことがあります。
例えば、2019年のラグビーワールドカップ日本大会で、日本代表は時間を最大限に活用し、最後にボールを外に蹴り出して勝利を確定させました。
ホーンが鳴った後もプレーが続く中で、試合を明確に終了させるためにはボールを外に蹴り出すことが必要でした。
また、アイルランド代表は、敗北が確定しつつも最後にボールを外に蹴り出しました。
これは「7点差以内の敗北であれば勝ち点1を得る」という戦略に基づいたものです。
自陣でのボールロスがトライを許し、7点差を超える敗北を避けるための判断でした。
このような戦術は、ラグビーの得点システムがもたらす独特の戦略であり、試合の結果を大きく左右することがあります。
まとめ
ボールをフィールド外に蹴り出す行為は、ラグビーで非常に戦略的なプレーとして重要です。
これにより陣地を確保したり、試合を有利に進めたりすることが可能です。
また、プレーが中断されることで試合が終了するため、最終的に試合を終わらせる手段としても利用されます。
これらの理由から、ボールを外に蹴り出すことはラグビーの試合において必要不可欠なプレーとなっています。